ヒマヒマなんとなく感想文|

「ボラット」


(国策映画ファン 2007.5)

「ボラット」栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
出演:サシャ・バロン・コーエン、監督:ラリー・チャールズ
 アメリカ映画

 たいがいのことは夢と希望に満ちていて、人生の試練もだいたいのことは楽しくクリアしてゆけるという、非常に明るくて前向きポジティブシンキングな生き方で大陸横断の大驀進をするおじさんたちのドキュメンタリー風映画。

異文化、比較文化をどう体当たりで楽しむかっていう点でも、生き方の参考になる。「旅の恥はかき捨て」というように、外国では、その土地の常識やらモラルやらを知らないということを武器に、そこそこのハチャメチャやっても、許してもらえちゃう範囲が広がる。今は、自国を出る前に情報がたくさんゲットでき るため、旅人は、顰蹙を買わない良い子としておとなしく過ごして、なにごとも なく帰国するようにることを望む人が増えている。しかし、衝突したり、意外な ことが受け入れてもらえたりを経験したほうが、外国のことはわかりやすい。特に、あまり頭よくない人はこのやり方のほうがお薦め。

 トラベルの語源はトラブルである、と近畿日本ツーリストの社員に教えても らったことがある。つまり、トラブルを楽しむのが旅=トラベルである。トラブルを避けたければ、慣れた土地から出ないことだ。旅の話は、ひどい目に遭った話のほうが、人々に喜ばれる。

 それにしても、カザフスタン政府が、政府後援映画(国策映画)として、これを制作した、その意図は、いろいろな可能性が考られておもしろい。その政府意 図を「あーだろ、こーだろ」と推察して楽しむことこそが、国策映画の楽しみ方 だ。カザフスタンは、ちょっと前まではソ連だったのだから、国策映画のノウハウは一級品だ。そういえば、日本の現役陸上自衛隊員が、実は、かつて、カザフスタンで映画を制作して、それがカザフで賞を取ったことある。カザフスタンというのは、そういう国です。

>>「ボラット」公式サイト