ニューオーリンズで演奏しているファンクバンドの2001年の作品。メンバーはベテラン揃いだが、このバンドではファーストCDである。日本ではあまり知る人は多くないと思うが、ギターは元ソーバットレビューの山岸潤史なので、そのつながりで知ることができる。山岸氏は臨時(セッション)で参加しているのではなく、ニューオーリンズに居を移して、地元の強者を集めたのだ。ニューオーリンズでは、山岸氏はJUNE YAMAGISHIというクレジットで有名人らしい。JYUNJIではなくJUNEにしているところがいかにも本場という感じがする。
当方は、たまたま今年(2005年)8月に、ブルース系のライブで山岸氏が日本名で参加していて、そのバックバンドにニューオーリンズの自分のバンドであるパパグロウスファンク(PGF)を連れてきていたのである。その演奏は、少し聴いただけでパワーを感じるものだった。4時間以上の長いライブだったが、パワーは衰えることはなかった。そのライブの後、何日か日本に滞在し、単独ライブが開催されたので、それも聴きに行った。バックバンドではまだ本気ではなかった。単独では、もう一段階レベルアップした。
ところで、ファンクというジャンルはなかなか定義しにくい。やかましいブルースにフリージャズのテクニックが加わったと言えば近いだろうか。まあ聴いて気持ちが良ければ、定義はどうでも良いのだが。
素人の当方が聴いても達人集団であることは明確だ。山岸氏のカッティングの切れの良さは定評があるが、PGFではそのテクニックを最大限生かしている。初見のライブでのバックバンドという立場では、ドラムス(David
Russell Batiste Jr.)のバスドラが印象的だった。当方はデビットのことは親しみをこめて海坊主と(密かに)呼んでいる。人の良さそうなスキンヘッドの大きな黒人の姿が浮かぶだろうか。バンドのリーダーはキーボード(John
Gros)で、バックバンドでもときどきボーカルも任されていて、美声を聴かせてくれた。ほかのメンバーはおとなしかったが、そんなはずはないと思い、単独ライブを聴く機会を得たので、確認のため迷わず出かけた。案の定、正体を現したのだ。キーボードは当然として、テナーサックス(Jason
Mingledorff)が前面に出てきていた。また、ベース(Marc Pero)は、開演の直前まで当方の隣でステージを見ながらビールを飲んでいた。妙な外人だなと思ったが、まさかメンバーとは。
いずれメジャーになるときもあるのかもしれない。まあ、当方にはそれは重要なことではないけど。
ただ、マイナーなままだと、CDの入手が難しいのが困る。このCDは、音楽全般に詳しい友人にうかがったところ、鎌倉の輸入代理店の通販で買うか、ニューオーリンズのPGFのHPの通販で買うか、そのくらいしか入手できないことがわかった。実は単独ライブ会場で手売りしていたのだが、何とかなると思いパスしたのだ。通販で購入してもよかったのだが、なぜかめんどうになり、そのままにしていた。それから3ヶ月、くだんの音楽全般に詳しい友人からTOWER RECORDで1枚だけ見つけたという情報が届いた。そして、迷わずここで入手したのだ。CDには「BUFFALO RECORD」のシールが貼ってあった。これはくだんの鎌倉の輸入代理店のレーベルである。当方がいつまで待っても注文しないので、直接近所の店頭に置いてくれたのだろうか。不思議なめぐり合わせだ。
実は、BUFFALO RECORDでこのCDを含むニューオーリンズを地場とするバンドのCDを購入すると、利益の5%くらいが「ニューオーリンズミュージシャン支援キャンペーン」でカトリーナ義援金として寄付されるのです。音楽好きとしては、ニューオーリンズには何か手を差し伸べなければいけないと思っていたので丁度よかった。
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