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「あぐり美容室」とともに 元気の秘訣は、一生懸命と好奇心


(森川 晃 2005.11)

「あぐり美容室」とともに 元気の秘訣は、一生懸命と好奇心 吉行あぐり PHP文庫

 故吉行淳之介の母の手記。90代で現役の美容師として一人で生活している。60代以降の生き方の参考になる。誰かに頼る生き方や、誰かを利用する生き方では衰えは避けられない。この本を読むと、些細なことでも一人でこなす人は健康な晩年を過ごせると思わせる。もちろん、若い頃は無理なくこなせた事が達成できないことは多くなる。しかし、そんな事に拘らずにできることだけでもやろうとすれば良い。

 作者のほかにも90代で健康に生活する人の手記はいろいろと読んだが、共通しているのは生活の基盤としての「仕事」が存在することである。ここで「仕事」とは決して「お勤め」ではない。美容師、書店経営、食堂経営、それに医師、変わったところでは冒険家という仕事もある。いずれも自分のペースで趣味の延長としてプロの仕事をしているのである。本を編むような有名人ではなく、晩年の仕事で一般的なものは「農業」と思われる。どのような仕事でも、やはりキーになるのは「プロ」の仕事ということである。このことが良い意味で緊張を与え、それから解放されたときの緩和が充実する。ときどき旅行に行くことも緊張を与えるが、年に1回程度では緩和期間が長すぎて、緩和に慣れてしまい休養にはならない。緊張の手段として旅行をするならば、少なくとも月に1回は出かけてほしいし、最低限の目標として月に1回は県外にでかけ、年に1回は国外にでかけるくらいなら大丈夫だろう。読書ならば少なくとも月に20冊は読まなければダメだし、食道楽ならば週5回くらいは未知の店で外食してほしい。深い晩年まで現役を継続するには自分のペースで世間から見るときつめの目標を掲げている必要があると思う。あくまでもマイペースなので、さすがに無理になってきたと感じたらハードルを下げれば良い。

「お勤め」以外で自分にノルマを課す人は、残念ながら日本では変わり者です。でも、どう考えても変わり者の方がおもしろそうなのだ。当方は人よりも長生きをしたいという気持ちは全くないが、「お勤め」以外に多数の目標があり、最期までそれらを一つでも達成させていくと思う。