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不肖・宮嶋
ちょっと戦争ボケ 上1989〜1996 宮嶋茂樹 新潮文庫 不肖・宮嶋 ちょっと戦争ボケ 下1996〜1999 宮嶋茂樹 新潮文庫 |
作者も巻末にいみじくも「ちょっと早すぎた」と記しているが、現在も精力的に取材活動をしているのに総集編を編むのは確かに早い。当方は、作者の本はほとんど(全部かどうか確かではないがこの本で15冊目)読んでいるので、内容は既知のものばかりだ。それでも久々に読み返す丁度良い機会を得て、決して読後に損をした気にはなっていない。 ところで、東長崎HPのBBSで宮嶋氏のゴーストライター(勝谷氏)のことを記して意見を頂戴した。当方はゴーストライターの存在を批判していないし、本職はカメラマンなので、めんどうな原稿起こしは得意な仲間にお願いするかたちは理想的だと思っている。それで、軽く記して誤解されてしまったようだ。まあ、意見をくださった方も怒り心頭という感じでもなさそうなのだが、ゴーストライターの存在は宮嶋氏の著書に記してあった事実であり、決して隠していないのでこの件はそもそも問題ないのだ。元々、カメラマンとライターは別の仕事なので、分業が一般的なのだ。この本の巻末に勝谷氏が記しているが、ある時期から宮嶋氏本人が本文を記すようになった。その違いがわからないのがすばらしいと思うし、勝谷氏の個性を引き継ぐのは大変だったと思う。これは想像だが、好んで戦場取材をして悲惨な現場を繰り返し見てきた人は、ストイックで無駄なおしゃべりはしないような気がする。関西弁のノリでベラベラ思いついたことを何でも口にすることはないと思う。何度かTVで宮嶋氏本人を見たことがあるが、肝心な一言しか発しなかった。つまり、宮嶋作品の軽いノリの文体はたとえ本人の記述でも「作ったもの」ではないだろうか。一読者である当方には、読んでおもしろくて、次の作品も読んでみたくなれば、それで良いのだが。 |