ヒマヒマなんとなく感想文|

「笑う運転手 ウエちゃんのナニワタクシー日記」


(森川 晃 2004.12)

「笑う運転手 ウエちゃんのナニワタクシー日記」 植上由雄 本の雑誌社


 当方は、なぜかタクシー本が好きで、これまでに多数の本を読んできた。その地域、時代の文化がよくわかる。おそらく、多くのタクシードライバーは機会があればユニークな話が書けるだろう。それでも秀作もあれば駄作もある。この本は3年前の「しゃけのぼる」氏以来のヒットである。タクシー本の現場はほとんどが東京だが、この本は大阪である。東京よりも大阪の方が文化に嘘がないので、おもしろい。  ところで、この本を読んで東京と大阪の決定的な違いがわかった。東京は貧富の差が激しいが、大阪をそれほど差異はないということだ。これは大阪だけでなく東京以外のどこにでもあてはまることだろう。東京にはタクシーでしか移動できない人種が存在する。大阪はタクシーでしか移動できないときに利用する。後者がタクシーの本来の姿だと思うが、前者のような人種が存在するから景気が良くなるのだろう。景気低迷期が長く続いているが、庶民にはどうしようもない。かつてタクシーでしか移動できなかった連中は、無理をしてでも継続して景気回復に協力してもらいたい。