ヒマヒマなんとなく感想文|

「精神科医はいらない」


(森川 晃 2004.5)

「精神科医はいらない」 下田治美 角川文庫


 精神科に通院してみて、医師や病院の態度への不満を記した本である。
 この本以外にも医療関係への不満を記した本は多い。当方が偏った選択をしているかもしれないが、 不満が多いのは「精神疾患」と「ガン」、それに「美容整形」のような気がする。いずれも、完治には長期を 要するものである。「美容整形」で長期化する場合は、患者本人の問題が大きいので、ここではもう触れ ないことにする。「精神疾患」「ガン」、結局は投資した金に対する成果が期待通りではないことにより不 満を感じると思う。「精神疾患」は結局、症状に対して対処すべく薬剤を投与して、ほかはカウンセリング というかたちで話し相手になるだけである。薬局に友人がいればそれで済みそうだ。「ガン」は結末として 死があるので、すべての対処を無にされてしまう。医師や病院には「仕方がない」と同情できる面もある が、患者の不満を少しでも解消しようという意欲を見せてほしい。

 ところで、ほかの本で、役所の苦情コーナーで不満が多いものに最近では「英会話教室」が目立つよう になってきたらしい。トップは相変わらず「金融」だが、「英会話教室」は意外である。印象に残る駅前留 学の宣伝や、学校や会社などの英語教育重視により、参加者がとても多くなった。しかし、参加者のうち 英語が堪能になる確率は以前とあまり変わらない。参加者が多くなってきたので、挫折者の絶対人数が 増えてきたのだ。大人用の英会話教室の多くは、レベルがバラバラで、なかなか現時点の自分に合った レベルに巡り会わないのだ。

「精神疾患」は「英会話」に近いかもしれない。なかなか適当な診療施設が 見つからないのだ。しかし、病院を渡り歩くのは煩わしい。金銭面での負担も少なくない。多かれ少なか れあらゆる事象に当てはまることなのだが、せっぱ詰まった状態でお願いしたのに期待を裏切られると逆 恨みに至る。精神疾患の場合はお願いすること自体にも大きなストレスがかかる。

 精神科は因果な商売だが、これからますます需要は多くなる分野である。当方は医学とは切り離すべ きだと考えている。先述のように極論すれば、病院ではなく、話し上手聞き上手の薬局で良いと思う。適 性人材の養成は医学部ではなく、もしかしたらオフィス北野かもしれない。