ヒマヒマなんとなく感想文|

月刊誌「DAYS JAPAN」創刊号


(加藤健二郎 2004.4)

月刊誌「DAYS JAPAN」創刊号 

 良い写真は多いのだが、外国通信社や外国人カメラマンから借りて掲載したものが多く、「DAYS JAPAN」スタッフ独自の取材成果は乏しい。つまり、「世界からこんなにいろいろと写真を集めてみました」っていう構成だ。自分の写真、自分の取材ばかりを表現しようとして質を下げたり、テーマが偏ってしまうよりは、良い本を作れるという発想だろうか。

 イラク兵捕虜を狙い撃つ米兵の写真では、レーザーアポインター装着のM16A2(M203装着型)で狙い、尻を撃たれたイラク兵が這う迫力だけでなく、背後のM1A1戦車部隊の戦車と戦車の距離がわかり、そのさらに遠方を進むコンボイが、戦車、トラックの混成部隊であることもわかる。私が突入してくる米軍を見たときの場面に比べると、車間距離は短くなっていて、つまり、この写真のシーンは緊張していない。戦車兵がこの距離から確認できるほど姿勢を高くしていること、戦車の砲塔が全て前方を向いていることからも、緊張した場面でないことは伺える。砲塔前面に敵味方識別装置が取り付けられていないようにも見える。

 しかし、「DAYS JAPAN」編集部には、この写真からいろいろ分析してゆく気はないようだ。この写真に添えられた文章は、この写真からあまりにかけ離れた平凡な論調でしかない。写真の持つ細かい情報について多くを語らないほうがフォトジャーナリストとして格好イイのかも。

 写真の角度から見て、車両の上から撮ったものと思われる。ヘルメットのマークから第3師団であることもわかる。手前の地面に刻まれたキャタピラの模様から、ここを通ったのは、戦車ではなく、M2/3歩兵戦闘車であることがわかる。まあ、東長崎機関でも、その程度のところまではキャプションなしでもわかりました。しかし、正確な撮影場所、月日などは記しておいてくれないと、さすがにわからない。戦争写真を情報として捉えず、「絵」として見ているから、このようなデータ軽視の使い方になるのだろう。でも、国際情勢は正確な情報に基づいて動くのではなく、「イメージ」や「絵」によって感情的に動くものかもしれない。