|
「一本の樹からはじまった 人と"こころ"のシリーズ」土岐小百合 アリス館 |
ある伝染する熱意の記録。作者の土岐さんの実家の樹齢103歳のケヤキが切られてしまう。それまで意識したことのなかったものへの愛着に気付くところから、ケヤキに関わっていきたい人がどんどん広がって、ついに・・。 著者の戸惑いなど素直で素朴な感想が語られているところがいい。だんだん大きく膨らんで、現実になっていく夢に寄り添っていくことがどんなことなのか、一緒に追体験できる。が言葉では控えめに表現されているが、きっと猛烈に働いていたに違いない。でも猛烈に楽しそうだ。こだわり方が嬉しい。熱意の伝染していくサマがいい。 人間には、楽しそうなものには吸い寄せられる本能があるに違いないと思わせる。インフルエンザやインターネットのウィルスじゃなくて、こんなのだったら大流行大歓迎!ちょっぴり切ないけどね。 一本の樹の最期にまつわる記録として、写真やイラストがふんだんに使われていて雰囲気がよく伝わってくる。第41回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選定されているくらいなので、子供にもじゅうぶん楽しめるわかりやすい本だ。 |