ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

風雪地帯の高速道路の必要性6



 札幌を貫通する道央道は、札幌以南は函館に向かって番号が大きくなる。以北
は旭 川に向かって番号が大きくなる。高速道路には100メートルおきに距離
ポストが立 っているが、函館方向は札幌を0として距離が表示される。旭川方
向も札幌を0とし て距離が表示される。ただし、旭川方向のみ「N」が付加さ
れている。札幌JCTか ら旭川方向に30.5キロ地点には「N30.5」と
いうポストが立っているのだ。

 札幌を起点とするナンバリングはそれで合理的なのだが、函館新道のナンバリ
ング が函館を起点に北に向かって昇順である。ナンバリングを見ただけでも、
函館新道と 道央道は別物であることがわかる。函館新道が大沼ICまで延長さ
れて道央道とタッ チしても、道央道に併合されないと考える根拠である。

 旭川方向は北端の士別剣淵ICまでは問題ないが、その先の離れ小島のナンバ
リン グはどうなっているのだろうか。名寄バイパスの開通区間のインターチェ
ンジには番 号が振られていない。自動車専用道路の無料開放区間ではナンバリ
ングしていない ケースが多いが、もし、士別剣淵ICの番号(13)からさら
に加算した数値でナン バリングされていれば、道央道とタッチしたとき道央道
に併合される可能性が高い が、今のところ無料開放は継続されると考えられ
る。それを確定させるために士別剣 淵ICの先の着工区間に本線料金所の用地
を確保してもらいたいものだ。まあ、それ ならば比布JCTの手前に本線料金
上を設置して。旭川紋別自動車道と合わせて、道 央道の比布JCT以北をすべ
て無料化する方がよいのかもしれない。

 そして、本レポートの主題である離れ小島の豊富バイパスは、なぜかナンバリ
ング されているのだ。しかも開通区間の豊富サロベツICを1として、豊富幌
加ICが 2、終点の豊富北ICが3である。いかにも豊富バイパスだけが単独
の高速道路であ るかのようなナンバリングである。
 道央道全体計画はあくまでも立前であって、豊富バイパスの本音は、冬期の通
行障 害が多い国道40号を避けて、既存林を西側に擁して通年走行が可能な
ルートを確保 した。そう考えると全体計画を無視したような独立したナンバリ
ングも理解しやすい。

◆写真10
豊富町開源
国道40号、開源パーキングエリア(シェルター)
(2006年5月23日、著者撮影。)
 ナンバリングは、案外、道路建設側の心意気を垣間見る良い指標だと思うが、
その 気になれば簡単に取り替えられるので、いかにも説得力がない。

 ところで、豊富バイパスの終点の豊富北ICの3キロほど稚内寄りの国道40
号に は、開源パーキングエリアが設置されている。豊富バイパスの区間は西側
に既存林が あり、冬期の日本海からの強い風雪を防ぐことができるが、豊富北
ICの先は、稚内 市街まで風雪を防ぐことのできないゆるやかな丘陵が続く。
そこで、激しい風雪で視 界が効かなくなったとき、風雪が緩むのを待つための
シェルターが設けられている。 (◆写真10を参照。)

 道路幅よりやや広い巨大なコンクリートボックスが道路を覆う構造で、路肩に
あた る路面に縦列駐車して待避する。トイレや公衆電話の設備があり、最悪の
場合、救援 を待つ時間くらいは耐えられそうだ。国道40号の幌延から稚内ま
での区間は、日本 海沿岸から10キロ以上離れているが、海岸と国道の間には
下サロベツ原野、上サロ ベツ原野が広がり、風雪を防ぐ地形にはなっていな
い。豊富市街から16キロの区間 は、豊富バイパスが何とか通年走行を可能に
しているが、ほかの区間は、最悪の場合 は「待つしかない区間」なのだ。豊富
バイパスを道央道の一部区間と考えると、社会 資本の過剰供給ととられてしま
うが、国道40号の当該区間の通年走行を目的とする ならば、道路建設に厳し
い人にも有益な投資と考えていただけるかもしれない。

 当方は、北海道に出かけると野生動物に出会う確率が高い。今回も開源パーキ
ング エリアの先でキタキツネの横断に遭遇している。国道での遭遇にしぼって
思い出して みると、大沼(国道5号)、襟裳(国道336号)、釧路(国道
391号)、芦別(国 道38号)、美幌峠(国道243号)、斜里(国道334
号)、占冠(国道237号) など。自転車で通りかかったときは、自転車を停
めて近づき、触れたこともある。も ちろん、野生動物なので餌を与えるという
愚行はしていない。奴らのたいくつしのぎ につきあっただけである。

◆写真 きつねー1
国道39号、留辺蘂にて。
道路撮影のときと違い、ちょっと凝った撮り方をしているが、なにぶん写真は素
人な ので、まわりをぼかすことはできたが、肝心のきつねも少しぼけてしまっ
た。でも、 奴が目を細める瞬間をうまく捕らえることができたので満足であ
る。撮影後、奴はカ メラに興味を持ったようで、泥だらけの前足でフィルター
をまさぐられて、スカイラ イトが1枚使い物にならなくなってしまった。
(1986年4月12日、著者撮影。)
 野性動物は道路交通にとっては障害にしかならないのかもしれないが、いつま
でも 奴らに緊張感のない表情で接近してもらえる程度の開発が、北海道には
ちょうど良い のではないかと思う。


(2006年8月2日、脱稿。)
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