ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

山手通り&首都高速中央環状線2-5




◆画像15
 渋谷区代々木3
 山手通り南行き南初台から初台交差点をのぞむ。
 首都高速新宿線の高架の上に西新宿JCTが2層で設置される。合わせて3層の高 
架が空中に展開する。中央環状線本線がトンネル構造なので、西新宿JCTの地上部 
分の完成イメージは池袋線東池袋R(◆画像16から18まで)に似ている。
(2003年2月11日、著者撮影。)

◆画像16
豊島区東池袋1
首都高速5号池袋線東池袋R
最下層の高架が高速5号本線で、上空を斜めに交差するのが東池袋Rである。
(1982年11月1日、著者撮影。)

◆画像17
豊島区東池袋3
首都高速5号池袋線東池袋R
画面左への空中ランプが高架2層目の5号下り線の出口、右が高架3層目の5号下り 
線の入口である。西新宿JCTでは2層目が中央環状南行きから4号下り線へのアプ 
ローチ、3層目が4号上り線から中央環状南行きへのアプローチになる。ただし、東 
池袋Rとは高架構造の高速本線の位置が異なる。
(1982年11月1日、著者撮影。)

◆画像18
豊島区東池袋3
首都高速5号池袋線東池袋R
西新宿JCTは、画面の高架2層目(東池袋R出口)と3層目(東池袋R入口)の交 
差部の下を4号新宿線本線が通過するようなかたちになる。正面を左右に通過する5 
号池袋線の高さで、直交するかたちで4号新宿線が通過する。つまり、画面正面が初 
台交差点にあたる。
(1982年11月1日、著者撮影。)
【むすび】
 山手通りは武蔵野丘陵の東端を横断している。そのため川筋が谷になり尾根筋が 
ピークになるアップダウンが連続する。国土地理院発行の地形図を見れば高低差は明 
確だが、沿道は高度に市街化が進行しているため等高線だけを注視するのは慣れてい 
ないと難しい。ところで地名の多くは地形に由来している。山手通り沿線についても 
これが適用されているので、地名から谷とピークは判定できる。今回の対象区間では 
「富ヶ谷」が谷で、「初台」がピークである。首都高速中央環状新宿線は本線がすべ 
て地下トンネルなので、地表の高低差に関係なくルート(縦断曲線)を設定できる 
が、地表の一般道路への出入口や既存の高速道路への接続の便宜のためある程度地形 
の影響を受けるかたちになっている。南初台から初台にかけての南斜面の勾配には、 
さらにきつい勾配で新宿南R、西新宿JCTのアプローチランプが地下トンネルから 
地表に表れる。特に西新宿JCTアプローチランプは、地表からそのままの勾配で高 
架構造に至り最高位のランプは、ピークの初台交差点を高架で通過する首都高速新宿 
線の2層上を越えることになる。地下トンネルから最高位までの高低差は30メート 
ル程度と考えられるが、それに地形の高低差が加算されるので40メートル程度だろ 
う。勾配を3%とすれば1200メートルの長いスロープになる。上り勾配は大型車 
両には相当の負担であり、排気に起因する大気汚染も心配である。地下トンネル区間 
にはトンネル内の空気清浄化のため約1キロおきに換気所が設置される。もちろんフ 
ィルターを通して汚染物質を除去して大気に還元する。ところが、地上区間にはフィ 
ルターは存在しない。どのようなかたちになるのだろうか。チューブ状の構造物が空 
中を通過することになるのだろうか。その場合には換気施設はどのようなかたちでど 
こに設置されるのだろうか。

 西新宿JCTについては、新たな資料を入手し次第再度報告させていただく。
初台交差点の改良工事(西新宿JCTのインフラ工事も含む)についても、別途報告 
させていただく。

 また、西新宿JCT以北の区間の現況についても機会があれば報告させていただ 
く。本件については東長崎HPの「地下に1兆円を埋めるプロジェクト」の報告状況 
を見ながら適宜援護するかたちをとりたいと考えている。また、本報告でも散文的に 
工事の進捗に伴う山手通りの通行規制計画を記している。「地下に1兆円を埋めるプ 
ロジェクト」はあくまでもニュースなので発表時の現状を表している。そのため(将 
来の予測を含む)時系列における変化まではわかりにくい。工事箇所が複数なので、 
かなりの地理分野での予備知識も必要である。工事箇所ごとに工事予定表に報告画像 
を張りつけるとわかりやすくなる。また、調査不足の箇所も明確になる。これを当方 
の頭の中だけで楽しむのは惜しいので、機会があれば単なる工事日誌にはならない程 
度に整理して報告したいと考えている。

大規模プロジェクトを東京の変化の象徴(バブルの後始末)としてとらえるマスコミ 
(ヤジウマ)的視野で取り扱うだけでは、首都高速中央環状新宿線はあまりにも惜し 
い。例えば最近はスペースシャトルが打ち上げられても(たとえ日本人が搭乗してい 
たとしても)、打ち上げ失敗の事故以外はあまり話題にならない。単に打ち上げた事 
実だけを受け入れている。現在でもスペースシャトルの打ち上げには莫大な費用がか 
かり、各分野の最高水準の技術が必要とされている。簡単に打ち上げているわけでは 
ない。ところが、約35年前の月面着陸を超えるインパクトはない。首都高速中央環 
状線は単なる道路で、いかなる革新的な技術を駆使しても宇宙開発のようなインパク 
トは望めない質のものである。当方も強くアピールするつもりはないが、特に大衆受 
けを狙う職業的必然もないので地道に「道路」に拘りつづけたいと思う。