この一覧が記者発表でも配布されたものと考えられる。480戸というのは世田谷と
大泉の間で三鷹での中央自動車道との接続以外には何ら出入口を設置しないケース
で、開口部から地下40メートルまでの地下区間の上に住宅を建設した場合は返却と
見なすケースである。(和光IC南側の西大和団地6ー1棟から6ー5棟のように地下
に道路を建設後に地表を住宅地として再生させた。)
元々この区間の外環道は、5つの一般道路とのインターチェンジが予定されていた。
南から順に
1)世田谷通り
世田谷区喜多見7、8地内で都道3号世田谷通りと接続。
2)甲州街道
調布市仙川町1、2地内で国道20号甲州街道と接続。
3)東八道路
三鷹市牟礼1地内で都道14号東八道路(放射5号)と接続。
4)青梅街道
杉並区善福寺3、4、および練馬区関町南1地内で都道4号青梅街道(放射6
号)と接続。
5)大泉IC(北行きは既に開通済み。)
練馬区東大泉2地内で都道24号目白通り(放射7号)と接続。
で、いずれもフルセットのダイヤモンド型インターチェンジである。三鷹JCTは
(2)と(3)の間に位置する。また、(4)と(5)の間にはかつては首都高速の
接続予定があった。5号池袋線早稲田で分岐し、西落合までは目白通りに沿い、ここ
からは新青梅街道を西進し上石神井で外環に接続する区間である。この計画は頓挫し
ているが、すでに準備済みの早稲田分岐部を利用して早稲田出口が追加された。この
計画の経緯については別の機会に整理する。
各インターチェンジでの接続放射道路は極めて交通量の多い幹線道路である。(東
八道路は上高井戸へ接続するまではローカル利用のみ。)ここに高速道路の出入口で
接続すれば、その交通量はとても多いだろう。この地区の道路は南北方向が脆弱であ
る。最寄りでは環八通りくらいしか大型車が安定走行できる高規格道路が存在しな
い。外環道は南北方向では格段に高規格の道路である。有料道路だが短区間でも利用
効果は大きい。つまり、外環道に一般道路とのインターチェンジを設置しないのは沿
線の道路ネットワークへの著しいサービス不足である。逆にインターチェンジを設置
すると、沿線の利用車両による慢性的な渋滞が発生する。東名高速道路、中央自動車
道、関越自動車道など都市間高速道路を相互利用して東京を迂回する車両の走行に支
障を来たす。
外環道は、元々一般国道298号東京外郭環状線と高速自動車国道東京外環自動車
道が一体になって機能するものである。名古屋環状2号線と東名阪自動車道、大阪中
央環状線と近畿自動車道の一体関係と同じである。お互いが不足分を補足して高機能
を果たすのである。外環道も開通区間のうち和光から三郷までは下を走る一般国道の
機能がかなり上の高速道路の機能維持に貢献しているのである。今回の移転戸数はい
ずれも一般国道東京外郭環状線の設置を想定していない。果たしてこのような規格で
高速本線は機能するのだろうか。和光以南は元々6車線で計画されていた。これは埼
玉県内通過区間より東京区間の交通量が多いと想定していたからだが、一般道路を併
設しなければさらに車線を増やさなくてはならないだろう。しかし、そのような計画
はない。
まとめると、
■移転戸数480のとき(一時的な※移転戸数は1000)
一般道路とのインターチェンジは設置しない。
一般国道東京外郭環状線を併設しない。
→沿線の道路ネットワークへ何ら貢献しない。
高速道路の交通量も東京迂回交通のみで、過剰供給と捉えられても仕方ない。
(キロあたりの建設費は700億とされているため、交通需要のハードルは極
めて高い。)
■移転戸数910のとき(一時的な※移転戸数は2060)
一般道路とのインターチェンジを設置する。
一般国道東京外郭環状線を併設しない。
→沿線の道路ネットワークへの貢献は大きい。
高速道路の需要が供給を上回り、渋滞が慢性化する。
(一般道路とのインターチェンジでの出口行列は高速本線に走行を塞ぐことに
なる。)
■移転戸数3010のとき
一般道路とのインターチェンジを設置する。
一般国道東京外郭環状線を併設する。
→南北方向の高規格幹線道路が組み込まれることにより、東京西部の道路ネッ
トワークは格段にスムースになる。
※一時的な移転戸数
道路建設のため一時的に土地を収用するが、地下(マイナス40メートルよりも浅
い空間)に道路建設後、地権者に返却する。
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