先述のように今回の調査では国内の調査団体や市販地図には頼れないので、外国の
WEBサイトの情報を入手した。アラビア語は理解できないので英語のサイトを確認
した。当方は英語も理解できないが、地名と高速道路の専門用語はある程度理解でき
るので、なんとかなると考えた。それでも調査不足や言語の解釈ミスに起因した誤解
はあると思われる。当方の報告は通常は多くの数値データに裏打ちされている。単に
「交通量が多い」と記載していても、バックには具体的な交通量データを控えてい
る。必要に応じて数値を掲載するが、数値の羅列だけでは味気ないのでなるべく抑え
ている。ところが、イラクについては何ら数値データを所有していない。WEBサイ
トの情報選択がすべてである。ここで不正確な情報を信じてしまえばデタラメな報告
になってしまう。複数のサイトで同内容の記載があるものだけを抽出して、これらを
「正」とした。有力な情報だが1サイトだけの記載については、不本意だが「〜と考
えられる」という表記を使った。
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◆図2
高速道路路線図(全土)
青色実線:開通区間
青色点線:工事区間
水色点線:計画区間
番号は、高速道路の路線番号。
拡大図は、バグダッド周辺は図9、バスラ周辺は図11を参照願います。
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イラクの高速道路は、都市間高速道路と都市内の準高速道路に区分される。準高速
道路は、主要交差点が立体交差になっている程度で、バグダッド市内に複数見られ
る。(図3を参照。)今回は、都市間高速道路についてだけ報告する。
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◆図3
バグダッド市中心部地図
図中のA、Bは、図1、図6も同じ場所を示しているので参照願います。
図中のCは、図5、図6も同じ場所を示しているので参照願います。
図中のDは、図4も同じ場所を示しているので参照願います。
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イラクの都市間高速道路は、1号、2号、3号と3本が計画されている。1号は西
側のシリア国境から、シリア砂漠を東進してラマーティを経てバグダッド市西部に至
る。ここでバグダッド市街地を迂回するように南東に方向を変えて、ユーフラテス川
に沿ってバスラに至る。ここでバスラ市街地を迂回するように南に方向を変えて、ク
ウェート国境に至る。クウェートはすでに高速道路網が発達しているので、それらを
通過してサウジアラビアに直通できる。開通区間はバグダッド近郊からヒッラまで
と、バスラ近郊からクウェート国境までである。総延長1200キロの1号は、イラ
クを縦貫する骨格になる。
2号は、バグダッド市から北にチグリス川に沿ってマウシルを経て、トルコ国境に
至る。トルコ側はアンカラ以西のエリアは高速道路が発達しているが東側の整備は遅
れている。イラクの開通区間はバイージーまでだが、トルコ国境までの630キロ全
線が開通しても、すぐにイスタンブール経由でヨーロッパまで直通できるわけではな
い。
3号は、1号の最も交通量の多いバグダッドとバスラの間を補間するバイパスのよ
うな役割を果たす。現在はバスラ近郊でわずかに開通しているだけだが、ここからチ
グリス川に沿って、アマーラ、クートを経てバグダッド市東部に至る。図2ではこれ
らの都市を経由しないように見えるが、単に計画線を直線で表記した都合のせいなの
でご容赦願いたい。1号と3号の関係は、イギリスのロンドンとマンチェスターの区
間に似ている。
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◆図16
イラクの都市間高速道路一覧。
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一覧の設計荷重は、日本国内では適用していない基準である。日本では、一般道路
はTLー14、TLー20が一般的で、ほとんどの一般国道や初期のころに開通した
高速道路に適用している。最近の高速道路や高規格幹線道路ではTTー43※2を適
用している。日本の場合は、地震が多いこと、交通量が多いこと、軟弱地盤であるこ
となど強固な構造を強いるべき理由があるが、イラクではTLー16.3で十分なの
だろう。荷重に関しては戦車の走行や滑走路への代用など軍事的な意味を語られるこ
とがあるが、道路事業体からはそのような報告は聞かない。基地周辺に強固構造の道
路が多いが、港や空港など定常的に荷重の大きい車両の通過が多い区間に基地が面し
ているせいである。なお、滑走路に代用については、高速本線の画像から中央分離帯
が整備されていて容易には滑走路にはなり得ないことがわかる。また、バグダッド周
辺およびバスラ周辺には不自然な2キロ以上の直線は見られない。全区間クロソイド
曲線と考えられる。このあたりは、東長崎編集部の専門なので憶測で語るのは避ける
が、イラクの高速道路が軍事目的で代用される可能性は極めて低いとだけ記しておく。
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高速1号本線
(yuーbuild.comのWEBサイトから引用)
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※2 TTー43
トレーラー荷重のこと。
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◆図15
東京外環自動車道、および東京外郭環状線
(R298)の設計基準。
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