ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

首都高速内環状線(道の川柳・森川晃)3



■各区間紹介

2)    放射6号区間(飯田橋JCT?中野坂上JCT)

 放射6号は、おおむね青梅街道のことである。道なりに進めば西新宿から市ヶ谷を
経る靖国通りが放射6号かと思えるが、実は文京区から新宿区内区間は断続的に開通
している靖国通りの北側を平行する職安通りなどである。本文では、首都高速内環状
線と重複する新宿区内区間を紹介する。
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千代田区飯田橋3
首都高速5号池袋線、内環状線分岐、合流部、
飯田橋交差点方向をのぞむ。

内環状線は、5号池袋線の下部を通過する。
小石川橋から飯田橋にかけての約400mの神田川上空は、
1層目が内環状線、2層目が5号池袋線のダブルデッキ構造になる。
 内環状両国方面と5号池袋線池袋方面を連絡するJCTランプが、
1層目と2層目を亘る。
この構造を構成するために橋脚が付加できるようになっている。
(1982年5月9日撮影。)
  内環状線は、飯田橋交差点から大久保通りを神楽坂上に至る。放射6号は文
京区の牛天神下から神楽坂上に至る。(この区間は住宅密集地でとても道路建設でき
るとは思えない。)神楽坂上からは大久保通りが40mに拡幅されて放射6号になる。
さらに若松町から団子坂を経て抜弁天に至る。抜弁天から抜弁天通りで東新宿を経て、
職安通りで北新宿百人町に至る。抜弁天通りと職安通りは広幅員の完成形になってい
る。飯田橋から北新宿までは、都営地下鉄大江戸線が走っている。つまり大江戸線の
ルートが放射6号で、地上の道路は未完成だが、地下は完成している。もちろん、上
空の内環状線は完成できるはずがない。

 北新宿百人町から狭い税務署通りを経て中野坂下で既存の青梅街道に至る。ここか
ら西は青梅街道が放射6号そのもので、郊外に至っている。内環状線は、中野坂上で
山手通り上に計画された中央環状新宿線にT字接続する予定だった。
中央環状新宿線は大深度地下構造で着工に至っている。もちろん中野坂上での内環状
接続は考慮されていないと思う。
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千代田区飯田橋3

内環状線分岐、合流部は、高速5号本線からも
容易に確認できる。
1号上野線の岩本町JCT接続予定部は
直線区間の途中なので気づきにくいが、
飯田橋JCT接続予定部は、
急カーブ区間なのでとても目立つ。
この接続部も、市販の地図でも確認できる。
(1982年5月9日撮影。)
■現在の計画
 内環状線計画は、環状線建設時の強引さが発揮できない現在ではとても着手できな
い。ところが、当初の予想通り環状線北側から6号向島線両国JCTまでの区間は慢
性的な交通渋滞が発生している。これを解消する対策として、(1)環状線(江戸
橋?宝町)拡幅、(2)6号向島線(江戸橋?箱崎)拡幅、(3)箱崎JCT改良な
どを実施した。さらに6号向島線の両国までの拡幅にも着手している。これだけで内
環状線に匹敵する効果が得られるだろうか。

 都心(心央)の西への移動、湾岸線の需要増大により、内環状線計画時の東西方向
の直結から、東南と西を結ぶ路線を新たな交通軸とする計画が上がってきた。これ
は、首都高速晴海線として着手された。湾岸線東雲から晴海までが着工区間で、さら
に築地を得て大深度地下構造で新宿に至る都心新宿線計画とリンクする。この計画は
内環状とはルートが異なるが、各時代の需要に応じて環状線の迂回効果を目指したも
ので、目的および効果は同じである。

 都心新宿線は、現在建設中の中央環状新宿線と同規模の1兆円超の大規模プロジェ
クトになる。建設期間も10年以上はかかるだろう。つまり、需要予測は30年先を
見越していないと完成直後に不要になる可能性もある。(この区間に関しては、自動
車交通そのものの大きな変革がない限り、そのような可能性はないと思うが。)内環
状線は志半ばで頓挫して既存高速道路本線の岩本町や飯田橋に不自然な拡幅部分を残
す程度だが、都心新宿線は投資額が莫大なので慎重に計画して次世代への貴重な財産
になるようにしてほしい。



□おわび
 画像に古いものを採用していますが、現在も撮影箇所の状況は変わっていないので
ご容赦願います。