ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

首都高速内環状線(道の川柳・森川晃)1



 鉄道には未成線という分類がある。これは完成に至らなかった路線のことで、計画
倒れのものや完成間近で頓挫した惜しいものまで含まれる。国鉄からJRに変わると
き、全国各地に未成線が発生した。これらの多くは完成しても需要が見込めないこと
に起因している。交通政策の転機になった大英断であった。ところが、需要は見込め
るのに環境破壊を危ぶむ沿線住民の反発に負けたケースもある。例えば、東京駅と成
田空港を結ぶ成田新幹線は、東京地下駅、成田空港地下駅および成田市内付近までの
路盤が完成し、千葉ニュータウン地内の土地も確保したのに、都内区間や千葉県内の
一部で反発されて工事中止を強いられている。おそらく需要は十分で、今から工事再
開しても問題はないように思える。実際には、東京地下駅は京葉線の東京駅に流用さ
れ、成田空港地下駅もJR線、京成線の駅に流用されているので、再開には再計画が
必要になる。

 さて、高速道路にも多くの未成線がある。本文では、首都高速環状線の交通渋滞を
解消する決定的な対策だった内環状線計画について記す。
 
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  首都高速内環状線路線図
 首都高速環状線は、南西方向については各放射線が1つのジャンクション(JC
T)に接続している。浜崎橋JCTで1号羽田線、一ノ橋JCTで2号目黒線、谷町
JCTで3号渋谷線、三宅坂JCTで4号新宿線、竹橋JCTで5号池袋線と接続し
ている。ところが、江戸橋JCTでは1号上野線と6号向島線が接続しているが、6
号向島線は箱崎JCT、両国JCTを介して9号深川線、7号小松川線、6号三郷
線、S1川口線と多くの放射路線と接続している。これは、東北自動車道、常磐自動
車道、京葉道路、東関東自動車道の都心方面への交通をすべて抱えていることにな
る。首都高速が計画された約50年前は、東京の東北方向の交通需要は南西方向に比
べて少なかった。それでも、江戸橋JCTへの負担が大きすぎる。新たに計画された
高速道路ネットワークにしては杜撰すぎる。渋滞させるために高速道路を建設するよ
うなものだ。

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 墨田区千歳1
 首都高速7号小松川線
 内環状線が分岐できるよう橋脚に接続部が準備されている。
 非常駐車帯と区別しにくく、7号本線分岐部はわかりにくい。
(1985年5月19日撮影。以下すべて著者撮影。)
 さて、そのような杜撰な計画が都市計画決定するはずもなく、首都高速は壮大で合
理的な計画の元に着手された。キーになるのが、都心を東西に貫く内環状線である。
7号小松川線の両国JCTから神田川を西進して、岩本町で1号上野線と接続し、飯
田橋で5号池袋線と接続し、中野坂上で中央環状新宿線に接続する。環状線の北半分
をバイパスする機能を果たす。つまり、交通が集中する江戸橋JCT、および6号向
島線の箱崎JCT、両国JCTを迂回できる画期的な路線ということです。

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 墨田区両国2
 (1985年5月19日撮影。)

続く