ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

知多横断道路(道の川柳・森川晃)

 

 知多横断道路は、愛知県道路公社が建設中の8.5キロの自動車専用道路(1種2
級)である。常滑市沖に建設中の中部国際空港の高速道路アクセスとして、2005
年の空港開港に間に合わすよう工事は鋭意進行している。
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 知多横断道路位置図
 (愛知県道路公社WEBサイトから引用)
 常滑市平和町の知多半島道路の半田常滑ICをJCT化し、ここを起点とする。同
市宝来町までは、新規に道路空間を確保し、そこから既設の一般有料道路(知多半島
横断道路)を拡幅する形で有料道路終点まで至る。その先は、常滑市都心部の北側を
巻く形で伊勢湾に至る。名古屋市内方面からエアポートアクセスとしては、半田常滑
JCTまでの知多半島道路を含めて既設の道路を使用した安価なルート設定になって
いる。

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 半田常滑JCT工事状況(JCT部)
 (2002年5月25日、著者撮影(以下すべて))
 一般道路のエアポートアクセスは、東海市から知多市の湾岸に既設の西知多産業道
路(R247〜R155)になる。無料ではあるが、実はこの道路も自動車専用道路
である。湾岸区間を離れて常滑市までは一部区間(8キロ)が2車線なので、開港ま
でに4車線化される。
 これらが予定通り完成すれば、道路の空港アクセスでの致命的な混乱は避けられる
はずである。

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 既設の知多半島道路、半田常滑IC。
 本線両側の工事空間は、JCT化されたときのランプ部になる。
 先述のように、知多横断道路の建設は空港開港時までの完成を必然とする急務であ
る。通常、道路工事をする場合は、既設区間の交通を確保して行うものである。確保
困難な場合でも交通規制は最小限にすべく交通量の少ない時間帯を選ぶものである。
ところが、この工事では思い切った長期の交通規制を実施する。現在(2002年6
月)の規制は、(5月21日から)7月26日まで、知多半島道路の半田常滑IC入
口(南北両方向)閉鎖、またIC前後の本線の1車線化である。6月18日から6月
20日までの毎日22:00〜6:00は、IC前後区間(阿久比IC〜半田IC)
が通行止めになる。今後、こうした規制は開通まで続く。工事区間において既設幅員
分の迂回路架設余裕があるにもかかわらず、このような規制を実施するのは結構めず
らしいことである。知多横断道路の意義(重要性)が感じられる。

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 知多半島道路の1車線規制区間。
 半田常滑ICアプローチ部から阿久比IC方向を望む。
 さて、半田常滑JCTは、知多半島道路の南北両方向と中部国際空港方面を相互連
絡する。また、既設の一般道路へのアクセスIC(半田常滑IC)を兼ねる。4方向
を相互連絡する最大3層を成す複雑な構造になっている。これは、線形を変更して、
さらに別の方向へ連絡する道路を接続し難いということである。
 知多半島道路は、知多半島のほぼ中央(稜線上)を南北に縦貫している。知多横断
道路は、知多半島道路と西海岸の中部国際空港を結ぶものであり、「横断」とは名
乗っていても知多半島を東西に完全に横断するものではない。JCTの構造も西側だ
けに接続する線形で、東側への延長は想定していない。

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 閉鎖中の半田常滑IC入口。
知多半島の西海岸の東海市、知多市、常滑市は、北側の名古屋市などの伊勢湾岸地帯
とのトリップが多い。また、東海岸の半田市は、知多湾を越えて西三河地区とのト
リップが多い。衣浦大橋、衣浦海底トンネルともに交通量は増加傾向である。そのた
め名浜道路、名古屋三河道路などの高規格道路が計画されている。いずれも構想段階
で着工までには至っていない。西三河地区においても中部国際空港へのスムースなア
クセスは当然望まれているが、2005年開港時には、第二東名高速道路で名古屋市
内まで行かなければ、高速道路では連絡されない。一般道路で、衣浦大橋を渡り半田
市街を抜けて半田常滑ICに至るルートが最短距離にはなるが、平日昼間は衣浦大橋
などで慢性的に渋滞が発生しているためエアポートアクセスには不適切である。

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 半田常滑JCT完成予想図
 (愛知県道路公社WEBサイトから引用)
 ところで、西三河地区から高浜市の衣浦大橋東詰までは既設の国道419号があ
り、高規格化できる十分な幅員を持っている。この国道は、西中ICで知立BP(R
23)と接続し、建設中(2005年までに開通)の衣浦豊田道路を介して、豊田南
BP(R155)に至る。豊田南BPは、第二東名高速道路の豊田南ICと接続し、
さらに東名高速道路の豊田ICに接続し、最終的には豊田北BP(R153)を経て
東海環状自動車道(R475)に至る。つまり、2005年には高規格一般道路が、
豊田市から各高速道路と接続しながら衣浦大橋東詰に至るのです。

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 愛知県の高規格幹線道路計画図
 (愛知県道路公社WEBサイトから
  引用の画像に著者追記)
 図の赤線区間が、横断道路延長想定区間。
 衣浦大橋を渡れば、半田常滑JCTにはあと5キロ程度である。(図の赤線区間)
 この区間は、半田市の丘陵住宅地帯であり、容易に道路空間を確保できない。もち
ろん、道路計画はない。しかし、この区間を主としてトンネル構造で建設して知多横
断道路に直接接続させれば、西三河地区、半田市など知多半島道路より東側にとって
は強力なエアポートアクセスになるはずである。

 計画中の名浜道路、名古屋三河道路にはエアポートアクセス以外に知多半島、西三
河地区における高規格道路のラダ−ネット化などの大きな目的があり、一概に否定で
きるものではない。それでも完成までには長期間を要すると思われるので、中部国際
空港関連の急場凌ぎには横断道路の衣浦大橋への延長は有効ではないだろうか。衣浦
大橋をもう1本架けることにもなり、衣浦大橋の渋滞解消にも効果がありそうです
し、半田市都心部の北側から西側に巻くバイパスにもなり、市街地の大型車混入率を
下げることにもなり、半田市には得が多いような気がする。