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現在、平成18年度開通を目指して、国内初の本格地下高速道路である首都高速中 央環状新宿線の工事が鋭意進行している。地下鉄(大江戸線)よりも深いところに建 設される。これまでの高速道路の概念とは異なる思想で計画され、今後の高速道路建 設の概念になろうかというキーポイントの工事である。国土の狭い国内での都市高速 道路は、欧米のように都市間高速道路の延長として建設することは困難で、当初から 新しい概念が必要だった。昭和37年、首都高速が既存一般道路の上空を通過する高 架構造でお目見えしてからは、これが主流となり各都市に広まった。その後、ウォー ターフロントに着目し湾岸地区を通すことにより都心部の通過交通を分散させた。こ の考えも各都市に広まった。 その後、次世代の高速道路としてジオフロントに着目されたが、法外な工費が必要 なためなかなか具体化しなかった。とりあえず、地下40メートル以下(大深度地 下)では、地上の土地を買い上げなくても着工できるよう法整備だけは行われた。そ れにより採算が疑問視されたまま首都高速中央環状新宿線の着手に至った。 さて、このジオフロント開発ですが、主として採算面の問題で各都市へはなかなか 広まっていないが、以外にも鹿児島で具体化されそうだ。これが、鹿児島東西幹線道 路である。 |
鹿児島東西幹線道路計画路線図 |
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首都圏、大阪圏など鉄道交通の発達したところに住んでいると、鉄道交通が不十分 な地方都市の自動車通勤ラッシュがいかに深刻か理解し難い。鹿児島市は、錦江湾の 付け根にある海岸都市ですが、北側と西側はすぐに山が迫るちょっと曲がった細長い 都心を形成している。都市圏は山を越えた北側、西側にも広がり、それらの地区と都 心を結ぶトンネルや海岸道路の交通渋滞は激しい。北側については、九州自動車道が 山の裏側を貫通して、西側から都心へアプローチすることもできる。今回着目の西側 からは、現状では国道3号の武岡トンネルを介して中州通りに至ることになる。山の 裏側(鹿児島IC)から都心までは6キロ程度だが、朝夕の渋滞ピーク時には40分 ほどかかる。 |
鹿児島東西幹線道路は、この区間の地下を並行するバイパスになり、10分程度で 結ぶことになる。 首都高速中央環状新宿線の目的は首都高速環状線通過交通の分散であり、効果は計 り難い。それに比べて、鹿児島はとてもわかりやすい効果が得られる。将来計画とし て、鹿児島南北道路(鹿児島の湾岸道路)へ接続することも考慮しているが、これは 当面は考えない方が(計画を大きくしない方が)必要区間の早期完成のためには無難 と思う。 いずれにせよ、鹿児島東西幹線道路のように明確な効果が期待できるならば、地方 都市においても大規模な高速道路建設は積極的に進めてほしいものだ。バブル時代に 着手した効果の薄い高速道路が次々に開通する今日だからこそ、将来感謝されるもの を残すようにしてほしい。 ところで、九州新幹線の西鹿児島駅がすでに完成しているのはご存知でしょうか。 在来の鹿児島本線西鹿児島駅に直交する形で、駅だけは存在しています。この駅か ら直線を引くと鹿児島東西幹線道路の新しい武岡トンネルとほぼ並行することがわか ります。現在は国道3号のトンネル1本の武岡地区ですが、将来は東西幹線道路のト ンネルと九州新幹線のトンネルが貫通する交通の要衝になります。 |