北海道札幌市もさすがに3月ともなると雪解けの季節である。平成21年3月
の半ば、今年は雪も少なく暖冬だったとはいえ除雪のため雪山はいたるところに
出来た。とある駐車場にも雪山ができていた。除雪機で積み上げた雪山は3メー
トルくらいあったろうか。 |
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駐車場の雪山を登る少女
しかし春先ともなると雪山はみるみる小さくなってゆく。そんな雪山を見た北
海道の少女は雪遊びを惜しむように、雪山登山を試みるのだった。住宅街の雪山
を舐めてはいけない、踏み固めた雪山ならいざしらず、ただ雪を積んだ雪山は、
一歩踏み込むと膝くらいまで「ズボッ」とはまって靴ともども抜けなくなるのだ。
靴も防寒靴を履き、靴に雪が入らないようにカバーをして、手袋もジャンバー
の袖口に入れて登山に臨む、少女にはちょっとした冒険だ。慎重に一歩づつ踏み
しめ足場を作って登る。 |
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雪山の山頂を征服した少女たち
小学校1年と2年の少女二人が雪山の山頂に到達した。住宅街の中ゆえ眺めは
良いとは言えないが、2メートル以上はあるだろう雪山の上は、少女達にとって
ちょっとした非日常の世界だ。なにをして遊ぼうか考えているのか、しばし下界
を見つめている。 |
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すると少女たちは歓声を上げながら頭からヘッドスライディングで頂上から滑り
降りた。「キャーッ」と楽しそうに滑る。滑り台のようにお尻から滑るのではな
く、頭から滑るのが醍醐味のようだ。 |
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楽しそうに滑り降りた少女たちは再び山を登り、飽きることなく幾度となく雪
山から滑り降りるのであった。もうすぐ春が近くに来る一日を、雪山滑りで楽し
む道産子少女の雪遊びは元気いっぱいだ。この日の気温は雪が降る氷点下であった。
しかし翌日は晴れて少女たちが遊んだ雪山も二回りくらい小さくなっていた。
北海道生まれの道産子は雪とこうして共存し、雪と戯れ北国の民となるのだ。た
まに雪が降り直ぐに雪が解けてしまうのでは、せいぜい雪合戦くらいしか雪遊び
はできないだろう。ウィンタースポーツもいいが、除雪でできた雪山も雪害だと
思わず、遊び道具になったら楽しいだろう。でも心ある大人は危ないからと、こ
んな遊びは許さない者も少なくないのが現実だ。
だから大人がついていて、危なくないように見守るのも大切だ。雪とはなに
か、雪国に生きる者は雪を楽しむことを身を以て知らなければ、雪も冬も辛いだ
けで雪国では生きてゆけないだろう。たくましい道産子は雪と戯れ育つのである。 |