ヒマヒマヒマヒマモード

優秀な役人の条件




2006年4月に防衛施設庁が出した、V字滑走路案。
沖縄普天間飛行場の海上移設案だが、着陸用滑走路と離陸用滑走路を
V字になる2本に使い分けて、民家上空を米軍機が飛ばないようにするという、
いかにも「いいとこ取り」のような案。

「文章上は、いいとこ取り」ってことが、まず、役人としては大切ね。
大切なのは、実体ではなく「文章上」です。

しかし、残念ながら、米軍は、着陸と離陸での滑走路の使い分けなどしてくれな
い。というのは、軍用空港のフライトの多くは、訓練飛行であるため、離着陸の
訓練をする航空機は、タッチアンドゴーといって、着陸して設置したら、そのま
ま加速して離陸の訓練に続けるのだ。旅客機の空港とは勝手が違う。

せっかく日本側がV字滑走路を作ってあげても、米軍は着陸して一旦停止し、わ
ざわざ離陸用滑走路の逆の端まで逆方向へ地上走行移動をしてまた方向転換して
離陸などという手間のかかることはしない。おそらく米軍の飛行規程の中にそん
な運用は存在しない。

沖縄に駐留する米海兵隊は、一部を除いて、米本土からの6ヶ月ローテーション
である。この6ヶ月間だけ、タッチアンドゴーの訓練飛行要領を沖縄住民のため
に変更することなんてしないでしょう。そんなことしたら、逆に事故の危険が増
えてしまうってもの。

つまり、米軍機は、民家の上空を低空で飛ぶことになる。
降りチャリ
でも、V字滑走路なんていうと、米空母みたいで、ちょっと嬉しいかもってか?
日本人は「大きい空母欲しい欲しい」願望強いからね。戦争のことなんて本気で
誰も考えてない日本では、防衛構想にはロマンが必須なのです。

さて、では「いいとこ取り」V字案のマイナス点は。

滑走路2本作ることにより自然破壊エリア増大
滑走路が1本案であれば、民家に上空通過される民家地域は1箇所だったが、
2本になることによって、2箇所が上空通過されてしまうことになる。

でも、「ちゃんと離陸と着陸を使い分けないアメリカさんが悪い」とアメリカさ
んのせいにして責任逃れできることが、優秀な役人としては大切。

滑走路2本作ることにより工事費は増大、工期も遅延というのは、平民視点から
は、悪いことのように見えるが、役人的には「公共投資増大。工期の遅延は、問
題先送り」と良いことづくめだ。
もともとは、赤で示されてた「沖合い案」で沖縄住民は納得していた。
しかし、この沖合い案のように完全に陸地から離れた人工島案だと、左翼反対派
が海上に櫓を立てて工事の邪魔をしているからということで防衛施設庁は逃げた
のだ。だが、逆に住民にとっては飛行コースが民家上になってしまって約束と違
うじゃないかってことに。

「左翼のせいで、飛行コースが民家地域に近づいた」と、左翼のせいにして責任
逃れ、これも優秀な役人としてはポイント高いね。(本当は、沖合い案には、技
術的な不安指摘もあったんですが左翼のせいにして、沖合い案を廃案にできまし
たからラッキーっすよ)

でも、飛行場完成後に防衛施設庁が責任追及されないの?
はい、普天間移設案とともに、防衛施設庁の解体後案なんぞも議論されていて、
来年春にはすでに防衛施設庁などという役所は存在していないのです。で、
防衛施設庁の残骸を併合して「防衛庁+防衛施設庁→防衛省」となります。