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緊張高まるオーストラリア



3月20日イラクに攻撃が開始された日にオーストラリアのハワード首相はオーストラ
リア軍をイラクの武装解除のために派兵し、また「対テロ大使」というポストを当日
付けで創設したことを発表した。ハワード首相は、オーストラリア国民に向けて
(address to the nation)イラク問題はイラクのみの問題ではなくて、未来に関わる
問題であると呼びかけた。

オーストラリア軍の使命は大量破壊兵器で武装し、近隣諸国への侵略行為を繰り返す
イラクの武装解除(disarm)である。アメリカは軍の作戦を「自由」(Operation 
Freedom)と名づけ、イギリスのブレア首相はLiberation(解放)という大義を掲げ
た。それに対し、ハワード首相は武装解除のための戦争に国民の理解と支持を訴え
た。

また、ハワード首相は、紛争地から地理的に離れているオーストラリアもテロの脅威
にさらされていると警告を鳴らした。なぜながら、イラクのような政権が大量破壊兵
器を国際テロリストの手に渡す可能性は大なり。国際テロはボーダーレスである。
オーストラリアは9・11以降、脅威にさらされている。オーストラリアは西欧の価
値観を持つ国である。何事もこれを変えることにはならず、変えてはならない。だか
ら我々はテロの標的なのだ。(Australia is a western country with western 
values. Nothing will or should change that. That is why we are a target.) 
既に1月22日にはイラクの武装解除のためにオーストラリアの海軍部隊が中東に向
かってシドニー港を出港し、そして現在オーストラリア軍のF/A Hornet機がイラクの
空爆作戦に参加して武装解除活動を続けている。
20日付けの対テロ大使というポストの創設も意味深々である。まずは対テロ大使は武
装解除活動の延長にある西欧たる価値観の守護神と位置付けられる。と同時にオース
トラリアは、その日を境に国連外交という建前を脱ぎ捨て、変わりに西欧の価値観を
テロから守るという新たな建前をまとったと言えるのではないか。オーストラリアと
同様に西欧の国であるイギリスでは、国連大使が対テロ大使の役割を担っている。

ハワード首相の観点では、アジアという地域は西欧を敵視した勢力が北朝鮮、バリや
東チモールなどで温存し、地雷があちこちで爆発しているようなところである。紛争
の火種だけではなく、SARSという病原菌もアジアで猛威をふるっている。それについ
て4月4日、ハワード首相は「オーストラリアは他の国より上手く対応できる。」と述
べた。オーストラリアでは7人のSARS感染者が出た。オーストラリア政府は国の面子
をかけて、SARS(重症急性呼吸器症候群)対策に挑むだろう。オーストラリアは他の
国より上手くやる。まちがっても感染者の数は非西欧の国を上回ることはない?

なお、4月4日のところ、日本ではまだ感染者の存在は発表されていなく、ゼロとされ
ている。


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