米軍のイラク攻撃の日(9月11日と推定される)が近づくにつれ、極東アジア情勢
も不安定になってきた。中国では新疆省のイスラム過激派がテロ事件を起こす恐れが
あるとされているが、平和な日本でも緊張を感じされる出来事があった。
9月7日、ある中国語会話クラスでのことである。授業の冒頭、中国人の講師はイス
ラム教徒の写真を出して生徒に聞いた。「これはなんですか。」え?一体何のつもり
なのか。生徒は顔を見合わせながら、おずおずと「回教徒??」と答えた。講師はに
こやかに言った。「これはテロリストです。テロリストはこういう格好をしていま
す。彼らは爆弾をしかけます。よく見ておいてください。」民主主義の洗礼を受けて
いる日本人は猛反発した。「それは差別でしょう。全てのイスラム教徒がテロリスト
とは限らない。」それに対し、講師はこう反論した。「あなたの言っているきれいご
とは、非常にわかりにくい。中国人には、はっきり物を言わないといけない。中国人
はあいまいだと言うこと聞かないから。」
9・11とは関係あるのかないのかはともかく、中国での思想統制活動は強化されて
いる模様である。9月に入ってから解放軍報、国防報等、中国の軍事サイトには、江
沢民の新思想で、社会主義と資本主義を足して2で割ったような「3代表」の熟読を
促すコンテンツが多数掲載された。さらに、地方都市では政治思想指導員のような人
が活動開始とのことである。そんな中、9月5日には、軍の最高指令官である江沢民
国家主席の本年中の引退をほのめかす中国共産党の内部文書が米国、台湾等のメディ
アに報じられた。日本では、8日付けの毎日新聞が3日遅れでこれを報じた。
一方、独立宣言騒動を起こした台湾は、地球環境サミットにひっかけて「貧困にあえ
ぐアフリカは中国より民主的で進んでいる。」(9月6日付けのTaipei Timesの社
説)と吼え、そして中国の人権問題を取り上げ、台湾の面子を保ちながら自ら売った
けんかを終結させようという雰囲気である。そして小泉訪朝の発表を受け、北朝鮮と
同様に日本との国交がない台湾は「北朝鮮と国交を結ぶなら台湾とも」、と対日ロ
ビー強化に乗り出した。8月31日付けのTaiwan Newsによると30日に国交正常化
のための組織、AEAK(Association of East Asia Relations)の首脳人事が一新され
た。新体制下のAEAKは2004年には台日自由貿易協定を締結し、さらに台日国交正常化
を目指す。
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