活動元通信アナリストの眼

小泉訪朝とすっかり浮いてしまった台湾



小泉首相が9月17日に訪朝する。この発表で独立宣言をして世界の関心を集めていた
台湾はすっかり浮いてしまった。
中国はイスラム過激派をウルグイ自治区に抱えている為、台湾の同胞、米国に擦り寄
る大儀はいくらでも作れる。米国の反テロの戦いを支持すると中国が言えば、米国は
中国は一つという原則を支持すると表明し、台湾は立場を失ってしまった。

台湾に行きたがっていた日本の外務省政務官は辞任してしまったが、日ごろからチャ
イナスクール批判を繰り返す外務省OB、岡崎久彦氏が、国際問題シンポジウム出席の
ために8月末に訪台した。岡崎氏は退官した人にもかかわらず、台湾のメディアはこ
れを大きく取り上げた。

さて、イラク攻撃の地ならしを進める米国に、悪の枢軸あつかいの北朝鮮は恐れをな
して、米日韓に擦り寄ってきた。そして電撃的な小泉訪朝と南北鉄道開通の発表。

米国のイラク攻撃の日が迫る一方、朝鮮半島周辺では平和活動工作が活発になってき
ている。各国は北朝鮮に影響力を行使しようと、お互い協業しながら必死に競合し始
めた。日本は首相の初訪朝という政治的には注目度の高いパーフォーマンスで世界の
脚光を浴びようとする。そのパーフォーマンスを受け入れなかったのが中国とロシア
のメディアであった。

8月31日、中国の新華社通信は、見出しと写真を大きくして取り上げたが、内容は短
くて簡潔だった。日本と北朝鮮は長年の懸案問題を話し合う。まる。日本では北朝鮮
と拉致は同義語であるが、拉致の一言もなかった。拉致を「敵対的」表現として嫌う
北朝鮮の意を汲んだかのように。

ロシアのPravda紙は31日付けで、小泉訪朝等の一連の動きはロシアの外交官が朝鮮半
島を南北往復していたからで、ロシアは朝鮮半島で一番影響力を行使できると言い
張った。小泉訪朝もロシアのお陰と言いたげである。

その中国とロシアは8月に戦略的パートナー宣言をしたばかりである。


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