活動通信アナリストの眼

シスコ@Home

食品の種類は無限だから、それらのデータを操作して様々な結果を得ることができる。それはそれで楽しい。でも、ITは生活をシンプルにもしてくれる。 例えば、パソコン画面をクリックしてお風呂を沸かす。10:45にタイマーを設定なんていう複雑なことをせず、風呂に入りたくなったら、沸かす。冷房を入れる。切る。消灯する。そういう単純なON・OFF操作をパソコン上でやる。下のイメージ図にあるボタンをクリックすれば、風呂は沸け、冷房は入る。

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集中電源管理システム






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このような操作を可能にするには、パソコンとお風呂等の互換性があり、情報が伝達されるよう通信接続されなければいけない。お風呂をONにするにも10Mbpsの光ファイバー回線が必要なわけではなく、LANケーブル、もしくはUSBケーブルでもいい。でも、家中、パソコンからお風呂、冷暖房機、灯り、炊飯器等々にケーブルが敷設されるとこれは蜘蛛の巣状態で、掃除ができなくなってしまう。そこで登場するのが無線である。

5月にKDDIとシスコという通信機器メーカーは、無線LANの事業領域で共同開発を進める旨、発表した。通信アナリストという本業に立ち返って言えば、それこそこれは将来を睨んだ絶妙な戦略的な枠組みである。KDDIは、NTTとは違って事業所、住宅という末端まで電話線ネットワークを持っていないため、無線もしくはCATVの組み合わせでNTT網を補えないか研究をしてきた。シスコはメーカーなので、ネットワークは持っていないが、IOSというOSソフトウエアを持っている。IOSはWINDOWSのような基本ソフトであるが、access-enable,clear,connect,disable,exitといったコマンドを打って操作する。エンジニア用にできており、CCNAという資格を取得していなければ滅多に触らせてもらえない。であれば、IOSをWINDOWSのようなグラフィック・イメージに仕上げ、使いやすくすればいい。シスコ社は家庭内イーサという構想を既にぶちあげており、IOSの改良ぐらいやるだろう。

KDDIもシスコも情報家電の普及を断言するにはまだまだ予断を許さないと考えているのだろうか、今のところ、この戦略的枠組みには三菱電機とか日立製作所、東芝といった家電メーカーが加わっていない。私も「注文の多い電子レンジ」「アクセス権を要する冷蔵庫」「常時接続された便器」という企画が当るかどうかは、これは綿密な検証を重ねていかなければならないと思っている。そして仮にそういった商品の需要があったとしよう。冷蔵庫、炊飯器、お風呂がばらばらに売られている状況では、消費者が混乱するだけ。じゃあ、インターネット対応家電と常時接続回線、無線LANを全てワンセットで提供する、本質的な「インターネットマンション」構想なんかはどうか。土地を弄ぶのに疲れたゼネコンは、ITに活路を見出してもいいだろう。

携帯電話の新規加入は伸び悩み、ブロードバンドも一定の普及をしたら、通信事業者の「次」はないだろう。そんな見解が大勢を占める今日、私はKDDIとシスコの取り組みに注目していきたい。