通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




10月23日 中国の都合
9/11事件の真相はともかく、人々が必要としているのは自分の納得のいく説明であ
るようだ。犯人はビンラディン、あるいは中国、もしくはイスラエルの諜報機関。
ブッシュは事前に知っていた、知らなかった。いろいろな説があるが、人は自分に一
番納得のいく話を信じる。自己否定をしたくないから、自分の心の琴線に一番ひびく
説を自分のものとする。

9/11中国謀略説にすっかり納得してしまっている香港人がいる。それは彼らの対中
不信を雄弁に物語っている。(なお、香港人全員が中国謀略説になびいているわけで
はありません。)
犯人にされてしまった中国政府は別の理由でビンラディンを脅威視している。香港の
週刊誌「東周刊」誌によると、中国から独立を求めるイスラム過激派をビンラディン
氏は支援し、訓練の場を与えているとのこと。このイスラム過激派はタザフクスタン
国境沿いのShinKiang省に潜伏していると見られる。イスラム教徒と「中国人」の衝
突は中国建国前にさかのぼり、19世紀から今日のアフガニスタン、トルクスタン、
タザフクスタン、中国ShinKiang省にイスラム統一国家を樹立する構想があったとされ
る。1990年にShinKiang省で「回教敢死隊」が武装蜂起し、翌年に入って人民解放軍
が事態を沈静化した。この武装蜂起をきっかけとして中国政府は少数民族による政治
的動きを警戒するようになる。「東周刊」誌によると、ShinKiang省では今年に入っ
て4回、爆弾テロなどの流血事件が起こっている。

この雑誌記事を辞書を片手に読んでいるが、次第にテロが中国を襲うという錯覚を持
ち始めてしまった。