通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




10月22日 世界各地に蔓延する各種「謀略説」
アメリカのブッシュ大統領、日本の小泉首相等、世界の要人中の要人を集めたAPEC首
脳会議が上海で開催された。中国は存在感をアピールしたいテロリストはこの機会を
狙うとし、警察、公安、軍当局は大々的な警備警戒を会議数週間前から展開した。
APECでは、主役の国家元首と並んで、治安当局が自らの存在感をこれまでもなく大き
くアピールする格好となった。

香港にも人民解放軍が駐留していたが、これについて香港の人たちはとんでもない冗
談を真顔で言う。実は同時多発テロ事件の首謀者は中国である。アメリカはアフガン
撤退後、中国を攻撃する計画だから大陸は警戒している。同時多発テロ事件にみられ
るよう、正攻防の戦争よりテロ戦の方が効果が大きい。中国の軍はビンラディンの真
似をするだろう。香港の反中国的月刊誌は社説で、「我々は中国がテロ事件の首謀者
と言うつもりはないが、しかし中国はゲリラ戦等を公然と研究し、その分野の先駆者
であることから、間接的にあの種のテロ事件を誘導している。」とも言っている。
日本では、ビンラディンはCIAの手先だったとか、タリバンを財政的に支えたのは米
国だった等のアメリカ謀略説が特にメディア好き、情報好き、議論好きのインテリ層
に受け入れられている。香港で中国謀略説のシャワーを浴びて、私は一体何を信じれ
ばいいのかわからなくなった。一方、香港で言われ放題の中国では、同時多発テロ事
件がニュースで伝えられると「高興!ばんざーい!最高だ!」という書き込みがネッ
ト掲示板を埋め尽くしたそうだ。
世界が狂いはじめている。