通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




8月15日
ブロードバンド時代の到来で、テレビとインターネットの共食いが懸念される
中、インターネット側もテレビといった既存メディアと差をつけようと考えている。

テレビ・映画の映像より、リアルで奥行きが深い3次元の画像がその一つであ
る。日本では車や時計のメーカーが3次元の商品イメージをインターネットで公
開している。専用ソフトをダウンロードすれば、商品を3次元で、そしてどのア
ングルからでも見れるようになる。3次元イメージ・データはコンピュータ・グ
ラフィックスの専門家に依頼して作成してもらうが、製作コストが1分15円とか
1杯2000円というように明瞭ではないこと、時間がかかるなど、依頼者にとって
面倒なことが多い。3次元イメージ・データを簡単に作成する方法を確立しよう
と世界のベンチャー企業が頑張っているが、なぜか彼等はカナダのケベック州に
集うようになってしまった。昨日、3次元イメージを自動的に数式に変換し、デ
ジタル・データとしてパソコン上で再現する「SGTLスクリプト言語」を発表した
SGTLシステムズ社もケベック州の会社だ。

SGTL言語は航空機メーカーが試験的に採用している段階である。インターネット
の世界では知られてはいないようで、「SGTLスクリプト言語」対応のWEBブラウ
ザーというものはないようである。いずれは「SGTLスクリプト言語」ではなくて
も、3時限データに対応するブラウザーは出てくるだろうけど、その時点では今
日のように全パソコンにブラウザーが「標準搭載」されることはないかもしれな
い。インターネット資源がさらに豊かになり、できることが増えるにつれ、普通
の人が取得しなければならない技や知識は増える。今日、LINUX搭載の腕時計と
か冷蔵庫という次世代情報家電の試作品が次々と発表されている。今後は軽いノ
リで、LINUXかWindowsかSolarisかを選択できなければ、「アプリの達人」と名
乗れなくなるであろう。
インターネットを特徴づけるのは「セルフ・サービス」というか自己責任という
原則である。一方、テレビは情報を垂れ流しているだけで、視聴者はテレビの機
能について勉強しなくても番組を楽しめる。これもインターネットとテレビを差
別化する要因であろう。