通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




8月14日
政府は2005年には4,000万世帯がブロードバンド回線に接続されると宣言してい
る。日本人の大半が、インターネットよりデジタル動画や音楽を苦なくダウンロ
ードし、楽しむようになればテレビの存在意義はなくなるかどうか。なくならな
い。私は、テレビが我々の生活で果たす役割はより明確になってくると思う。
テレビ放送を電波ではなく、インターネットを介し、情報端末で見ることは技術
的には可能である。デジタル化されたテレビ・コンテンツをキャッシュした動画
配信サーバを全国の複数の拠点に置き、それぞれの拠点は数10万の同時アクセス
に耐えられる太い回線でバックボーンにつなぐ。このようなコンテンツ・デリバ
リー・ネットワークができてくれば、常時接続しているパソコン、もしくは、
「パソテレ」上で連続テレビドラマやクイズ番組を見ることはできる。

技術的にテレビ放送をなくすことは可能であっても、ユーザーがテレビに何かを
期待し続ければ、生き残る。一般的に、私たちはインターネットで情報、刺激、
癒し、便利さ、要求に合った商品とか、かなり俗っぽいものを求めているような
気がする。感動とか感激とか人生についての苦い教訓とか、崇高なものはインタ
ーネットで得られないことはないけれど、ネット・オークションといった娯楽ア
プリケーションのマーケティング力に私たちはねじ伏せられ、インターネットは
軽いノリで楽しむ場と思わされているところがある。テレビだってマーケティン
グ次第で視聴者の心の中に食い込み、しっかりファンを囲い込むことはできると
思う。全てはマーケティング次第である。