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シリア戦:市街戦型クロスランニング




この西部劇の騎兵隊のように疾走しながる射撃をして突っ込んでくるシリア軍戦
車隊の姿に「映画の撮影?」って思う人もいるかもしれない。
しかしこれが新しく披露された、クロスランニング戦術の開幕。

クロスランニングは、航空戦における一撃離脱方式を地上戦に応用したもの。
これを市街戦に適用したシリア軍の陰に、先進国軍事顧問の存在を感じる。

では、デビューしたクロスランニングを図解によって見てみよう。
図中の番号をまず見ていただきたい。

@ー攻撃目標の建物に沿う街道を疾走しながら射撃をする。
この時点でまだ、敵が立てこもる建物は特定されていない。
クロスする横の軸を街道に置き、ここをT−72戦車が走りながら射撃を加える。 
敵の位置特定は、指揮所建物以外のすべてに対して射撃を加えることで、建物内
を動く敵兵の陰を監視する偵察班の目に任せる。


Aー敵制圧下ではないことが確認されたこの建物にBMPから歩兵を下車させ建
物内に展開させる。これから行うクロスランニングを統括する目を増やすため。
以下がその状況。

敵兵のいる攻撃目標のビルを特定できたら、煙幕を張る。


Bーここは敵の制圧下ではないことが確認された上で定めた前進出動ポイントの
ようだ。ここが、クロスランニングの縦の軸の起点となるので、救急車などもこ
こには待機する。Bの近くの地点から、攻撃目標のビルにシルカ(自走4連装機
関砲)が射撃する場面もあった。


Cーここは、敵制圧下の可能性ある地域への進出のため、戦闘偵察モードだ。ク
ロスランニングの縦の軸のUターンポイントとなる。敵の脅威ある街道沿いの地
点からはかなり距離を離しているが、攻撃を受けると脆弱なので、ここの守りは
最前線モードだ。

以下が、このC地点の光景。
Dー縦の軸が決まったら、BMP歩兵戦闘車をできるかぎりのスピードで行き来
させながら、攻撃目標(緑の点がある)に射撃を浴びせる。
この煙幕下を疾走しながらの射撃でBMPが行き来する場面が、クロスランニン
グの名場面だ。横の軸を走るT−72戦車はBMPほどの高速走行はしない。
これは、縦軸を疾走するBMP車載カメラ。左前方からこっちへ疾走してくる
BMPがジャンプしているのが見える。煙幕下で正面衝突や同士討ちしないよう
にこのクロスランニングをするのはレベル高い統制が必要かと。


Eー敵がいないことが確認されたら、攻撃目標に近い側の建物にも歩兵を展開さ
せる。ここは攻撃目標の隣の建物なので、敵を追い詰めるための射撃と監視。
建物内の敵を、建物内の奥でしかも3階(最上階)に追い込むために戦車砲を使う。
グランドフロアと隣の建物を落とせば、3階に逃げた敵はもうおしまい。
歩兵を投入して最終戦。
戦闘終了。
政府軍の戦死2人、負傷13人。IFV(BMP歩兵戦闘車)3両が撃破。
敵の戦死は36人、とのこと。

(成形炸薬弾雑学)
高速で疾走させる目的は、敵RPG(対戦車ロケット)の命中精度を落とすため
だけではない。高速で走る車両に当たったRPG弾の貫通力は落ちるのだ。成形
炸薬弾は走る車両の作る空気圧の影響を受けやすいようだ。走行中に撃破された
車両の乗員は、停止中にやられた場合よりも、生存率が格段に高い。
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シリア市街戦クロスランニング映像1

シリア市街戦クロスランニング映像2

シリア市街戦クロスランニング映像3

シリア市街戦クロスランニング映像4

(このページのシリア戦争画像は、ユーチューブ等からのパクリです)

続く