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市街戦型の槍機戦術、実戦デビュー




シリア軍の最新型市街戦戦術を解明するキッカケとなったのは、
このもくもく煙幕作戦が世界中に報道されてから。
2列で突入してくるT−72戦車に対しての反アサド軍砲撃は、
煙幕をやられてからは、全弾ハズレた。
戦車の後方右側を、ダッシュで撤退してゆく歩兵部隊。
この歩兵部隊が、槍機戦術の小槍となっている。
そして、この小槍を撤収するために煙幕が張られていたのだった。
小槍の歩兵部隊2個小隊を撤収させたあと、
戦車と戦闘装甲車部隊が高速で撤収してゆく。
撤収速度は素早い。歩兵は、無駄に大きい装備を持たず短距離走のごとくダッ
シュ。それに車両部隊が続く。敵の直接照準射程の外に出てから乗車。
ダマスカス郊外Darayaでの、
市街戦型の槍機戦術。
2012年12月〜2013年1月。
これは、槍機戦術の軸となる大槍。
T−72戦車、BMP−1戦闘装甲車などで、
時速50キロ以上で一気に突っ込む。
このスピード重視の大槍には、T−55戦車は使われず、
T−72戦車だ。最大速度、エンジンの馬力と信頼性。
直撃弾を受けても戦車兵の生存性が高いなどの理由。

この大槍部隊は、敵火力地点まで一気に進出して、火力制圧をすると同時に敵の
動きを止めて戦況把握。ここを限定停止点として、ここには長時間とどまらず
に威力偵察のみを行い、一気に全速力で撤収する。

撤収したら、次の大槍部隊が再び行き、可能なら槍の差し込みを深くする。つま
り限定停止点を先へ進める。このように、何度も、機甲部隊を行き来させること
で、制圧地域を奥に深めてゆく方法だ。

槍を突いては抜き突いては抜くような機動戦=槍機戦術。
これは、チチェンのグロズヌイ市街戦で、突入ポイントに駐留したロシア軍が夜
襲などの奇襲に遭って全滅に近い損害を出したことから、市街地に部隊を長時間
駐留させない方法が執られるようになった。
駐留せず、スピード機動展開でカバーする新しい機動作戦。

大槍突きを何度か繰り返して、戦況把握をしたら、
歩兵を展開させる小槍部隊を前進させる。
トラックに載った歩兵部隊を護衛するのは、T−55戦車。
T−55とT−72の使い分けは明確だ。
1回ごとの槍部隊は4〜8台だが、
歩戦拠点には、ズラリと歩戦共同作戦部隊の縦列がある。
これらが順番に、槍機戦術を決行してゆくのだ。

(このページのシリア戦争画像は、ユーチューブ等からのパクリです)

続く