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自衛隊ロマン・新戦車=TK−X




軍事戦争がマジメなテーマとしてはますます三流四流落ちしてく中、戦火にさらされる心配ゼロの日本では、戦車人気が高まっているらしい。

上記の「戦後の日本戦車」という2980円もする本の増刷が決まった。

 2010年度完成を目指して開発され、出来上がってた陸上自衛隊の新型戦車。報道公開された実物や情報公開されたスペックだけから、対戦車素人のカトケ ンが、この戦車について、その真価をあーだこーだいうのは難しい。しかし、言える部分もある。

 まず、90式戦車から20年以上新化した戦車とはおもえないくらい、90式戦車の改良バージョンアップ版でしかない。TK−Xの設計思想が、90式戦車 と同等の火力、同等の装甲を持ち、重量の軽量化、デジタル指揮統制システムの搭載としていることから、90式戦車の改良バージョンアップ版でることがわかる。戦 車の新化って、そろそろ限界なのだろうか。戦闘機の世界も、1970年代のF−15戦闘機が今だに第一線だし。

 そして、戦争も時代とともに移り変わり、戦場の求める戦車も変ってきている。

まず、日本の新戦車に120ミリ主砲は不要だとおもう。イラク戦争のような戦車が大量に投入された戦争でさえ、敵戦車を撃破した兵器のほとんどは、対戦車 ミサイルであって、戦車の主砲ではない。ミサイルにはない120ミリ砲の利点については戦車ファンは100も承知なので、ここでは語らないが、不利な点 は、火砲搭載によって、車体は重量化大型化し、また、乗員の錬度もミサイルより高いものが求められ、火砲には、車内事故による負傷も多い。

 どうしても、ミサイルでなく火砲が必要だとするなら、120ミリ砲と同等の威力の小口径砲の開発を真剣に考えたほうがよかった。90式戦車から20年も の歳月があったのだから。120ミリ砲弾は重いので、自動装填装置が故障したときに、乗員が手作業で復旧できず、戦力から離脱する可能性が高い。そのよう なこともあり、主砲の小型軽量化が望ましかっただろう。今後の新人類君たちは、さらに腕力非力になる。
しかし、120ミリ主砲のない戦車なんて、戦車屋のロマンが許さないのだろう。

 デジタル指揮統制システムの搭載は、今後の新兵器には必携であることはたしかだ。しかし、TK−Xは、乗員3人である。携帯電話を使用しながらの車の運 転は事故に繋がるといわれいる昨今。デジタル指揮統制システムなんて、パソコンと携帯電話をこなしている以上の複雑な作業だ。肉体労働者が中心だった陸上 自衛隊は、パソコンに向かった作業の負担をバカにしているのではないだろうか。こんなことやって司令部と議論しながら戦闘していては、目の前の戦闘行為が おろそかになることは明白だ。

 以上のようなことは、どうせ、日本で戦車戦なんかない、ということを前提に設計された戦車ということであれば、たいした問題ではないが、そういうことな ら、もっと革新的な新技術試験運用的な戦車にしてほしかった。たとえば、火薬不要の高初速砲といわれる電熱砲を本気で開発するとか。また、砲塔を無人化し て乗員は全員、車体内に収まるようにすれば、砲塔が格段の小型化でき、被弾時、乗員の生存率を高める設計にしやすい。戦車設計屋さんたち、ロマンが足りないね。

 TK−Xに欠如しているのは、市街戦での運用である。市街戦の交差点に、ドッカリと戦車を置いて撃ちまくるくことによる敵ゲリラ特殊部隊などへの威嚇攻撃の効果 は意外とまだ高い。その場合、戦車に必要なのは、中小火器の乱発を車内から行えることである。120ミリ砲は市街戦では不要だ。車体上の無人砲塔に、機関 銃、機関砲、自動擲弾発射機、携帯ロケットやミサイルがハリネズミのようにあるのはどうだろうか。120ミリ砲をナシにすれば軽くなり、その分、増加装甲 をべたべたと貼り付けることができる。

市街戦運用だけにしてしまうと、機動性軽視になるため、それこそ、戦車屋のロマンがなくなってしまう。戦争は、男にとっては最も贅沢なロマンだ、と言った偉人もいるらしい。ロマンのない戦争なんて・・・、ってことか。

で、バグパイプ・ロマンチスト・カトケンも、「戦後の日本戦車」にはたくさんの写真を掲載せてもらってます。

カトケンが写ってる写真ではなく、カトケンが撮った戦車写真ですよ。