『北恵庭駐屯地裏門、演習場へ続く戦車道』

　戦車道とはコンクリート道のことで、工事も隊員自ら行った。
北恵庭駐屯地は第一戦車団が廃止になった後も第一戦車群と第72戦車連隊が駐屯
する機甲部隊のメッカだ。

『戦車パーク』

　戦車の駐車場も現在は御覧の通りコンクリートが敷かれているが、昔は泥々で
乾燥すればパウダー状の粉が舞う「汚い」駐屯地だった。
少し歩けば必ず半長靴が汚れた。
　しかしそれが戦車部隊が駐屯する駐屯地の宿命でもある。
一時は産業廃棄物のようなコンクリートの固まりを捨てられるように撒き散らし
ていたこともあった。

『現在は90戦車のパークになっている』

　戦車隊員になる道は航空学生のように入隊前から決めることは出来ない。防衛
大学を卒業して陸上自衛隊に入隊して機甲科へ進む道もある。
一般幹部候補生になって幹部自衛官として機甲科を希望するか、一般曹候補学生
や曹候補士になって陸曹として戦車陸曹を目指すか、一般の２等陸士で入隊し、
前期教育で『機甲科』を希望し、戦車乗員になるなら戦車部隊に配属を希望する。
機甲科を希望しても偵察隊に回される場合もあるし、戦車部隊に配属されても本
部管理中隊に配属になり整備、補給、通信、偵察の配属もある。
戦車中隊（ナンバー中隊）に配属されても整備員になることもある。

『廃車の74戦車？』

　戦車乗員になるにははっきりとした希望と適性が無いとなれないのかも知れない。
それじぁ、お前は希望したのか？、と問われれば『希望していない』と言うしか
無い。
任地と希望職種があっても枠が無ければ、なれないし成りたくなくても配属され
るのが自衛隊なのだ、「軍隊は運たい」と言うことだ。

『進め戦車連隊』

　つまり戦車乗員を希望していなくても戦車乗員になる者もいるし、熱烈希望を
しても戦車乗員になれない者も大勢いる。
「戦車の操縦をしてみたい」なんて漠然的な目標しか無いのなら希望しない方が
良い、戦車隊員は戦車に乗るだけでなく普段の生活も含めて考えると…、お勧め
はしない。

『昔の戦車パーク、コンクリートでは無い』


　戦車乗員の気質は「答えが出来ていなくても取り敢えず答え行動する」と陸曹
候補生の面接で言われた、確かにそうだった。
じっくり考えて物を言う奴は使えない、なぜなら戦車が走っているのに「右に行
こうか、それとも真っ直ぐ行こうか」なんて考えている内に数キロ先まで進んで
しまう。