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英語圏大手メディアの"沖ノ鳥島"報道 5

(報告:常岡千恵子)



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『ワシントン・ポスト』(米)  2005年5月14日付
   −戦時の天皇に栄誉を与える日本
      国会で、論争の的の新しい祝日が成立

 日本の国会議員は、金曜日、第二次世界大戦中の天皇ヒロヒトに栄誉を
与える祝日を制定する、問題の多い法案を圧倒的多数で成立させた。
 批判者たちは、これを、日本の軍国主義の過去を賛美する一連のステッ
プの最新の一歩だと語る。

 この法案は、政治的圧力と国民の批判により、過去に2度廃案にされて
きたが、日本の戦争認識によってアジアの隣国との外交的緊張が高まって
いる最中に、成立した。

 多くのアナリストが、自民党が提出したこの法案は、日本の戦後の平和
主義からの大きな転換のひとつだと見ている。

 先月、文部科学省は、日本のアジアでの侵略を糊塗していると内外から
批判を寄せられた教科書を認定した。
 日本は、島や水域の領有権を、積極的に主張し始めている。
 
 世論調査によれば、日本人は、世界第二の経済大国である日本は、国連
安保理常任理自国入りなど、経済大国に見合うグローバルな役割に値する
と、感じている。
 そして、米国が起草した憲法を改正しようとする圧力もある。

 社民党参議院議員は、「なぜ、この終戦60周年に、"昭和の日"をつく
らなければならないのか?」と疑問を呈した。

 "昭和の日"制定の支持者たちは、ヒロヒトの時代における激動と戦後
の復興を顧みるためのものだとする。

 政治アナリストは、新たな独断的な外交政策へのシフトは、安全保障上
の脅威によって焚きつけられているという。
 北朝鮮は核兵器保有を宣言し、中国は軍事力を増強している。

 小泉首相は、公式には自衛隊として知られる日本の軍隊に、新たな国際
的役割を与えて続けてきた。

 しかしながら、祝日をもってヒロヒトに栄誉を与えることは、まだ微妙
な問題とみなされている。
 1989年の死後、彼の誕生日は"みどりの日"という曖昧な休日にな
っていた。

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 米政府の見解を垂れ流しする日本の大手メディアを通しては、あまり日
本国内に伝えられないような辛口の論調だが、外から客観的に眺めると、
日本の動きはこのような印象を放っているのだ。

  注意すべきは、米政府やその関係者は、日本に何らかの下心を持ってい
るわけだからキツいことは言わないし、日本が好きで日本と関わる米国人
も、"親日"というフィルターがかかっていること。

  これに対し、ごく一般の、日本に対してさしたる思い入れのない米国人
の対日観は、概して厳しい。
 さらに、日本と関わりを持つ政府関係者や日本専門家は、ごくごく例外
的な米国人であることを頭に入れておかなければ、米政府があえて一般
米国民とは異なる対日観を示しながら、何らかの目的をもって日本と
接している、という真意は見えてこない。

 そして、表面的な外交辞令と真意を峻別し、後者を読み取って判断する
のが常識なのだが、日本のメディアは、表面的な外交辞令のフォローに終
始するレベルにとどまっているようだ。

 同じ米国の機関でも、メディアの見解は政府のそれと、これほど違うの
である。
 ましてや"世界"となれば、なおさら多様性の幅が広がるのに、大手メ
ディアを含む日本のエリートの思考は、どうも"世界=米政府"の枠から
脱け出せないでいる。

  今後どんどん海外"進出"したい自衛隊の諸君、世界は米政府のみに非
ズ!!!
  寄らば大樹の陰とばかりに、憧れの米軍のみに気を取られていては、
真の国際貢献は遠ざかるばかりであ〜る!

  日本の国連安保理常任理事国入り推進運動に熱心に荷担している日本
の大手メディアも、もうそろそろ"世界=米政府"を卒業し、真にグロー
バルな視点で事象を捉え、自ら"常任理事国"のメディアに足る存在にな
ってみては、いかがなもんかね?

続く