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体験する前はちょっと構えていた。毎日、その日の食材と客の好みに応じて組み立てられるこだわりのメニューは想像がつかないし(食材にヒグマだって使われちゃったりするのだ)。
最高でも2組しか入れない小部屋にシェフの調理台もある。訪れる側も真剣勝負で挑むことが要求される(って、いったい?)んじゃないか? しかし。道行く人は気付かないに違いない、建物の壁面にひっそりと存在する白い扉を開けると、赤坂の喧騒がウソのような異空間に吸い込まれ、にこやかなもてなしに、あっという間に心も解れてしまった。 フランス料理がベースとはいえ、創作スペイン料理に通じる個性的なメニューは毎日変わるので、一部を記録しておこう。 食材だけでなくワインも楽しみのひとつ。直接ワイナリーから譲ってもらったノーラベルの銘柄まで味わうことができる。 |
アロニア ド タカザワ 東京都港区赤坂3-5-2 サンヨー赤坂ビル2F |
「野菜」とだけ題されたアミューズの1品目は、名前とはウラハラに15種類の野菜それぞれを別々に調理してから寄せられた凝ったもの。色彩も味も素材の個性が引き立てたってカラフル。味わい方に作法があります。 | |
「のれそれ」 左のミニ・グラタンのように見えるのはウナギの子ども。柔らかい。 |
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「ネギ間?」 いたってシンプルなネギ間。?ちょっとネギがフツウじゃない、ネギじゃない? ちなみに添えられた塩は数億年前の岩塩を削ったものでミネラルの甘みと深いコクが味わえる。ほとんど「温泉卵(ホントに温泉でゆでてる硫黄っぽいもの)」の味のようだった。クセになりそう。 |
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ネギの正体。 |
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「天然しま鯵」 |
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「とうがらし」 赤いとうがらしと緑のとうがらしと、もう一種のとうがらし。上に乗っている肉は牛の「トウガラシ」という部位。知ってた? |
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「アグーと漬物バッグ」 アグーと漬物をそれぞれ串揚げにしたもの。漬物の串揚げは、ありそうでない新鮮な味。 |
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パン 埼玉や北海道の異なる小麦粉を使った、産地によって個性を食べ比べ。ずいぶん違うものなのだということが実感できる。 |
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「グリーンミネストローネ?」 またまたハテナマーク。最初は左のミックスベジタブル風にスープを注いで混ぜるとアラ不思議。抹茶色の緑スープが出来上がり。そして、なぜかトマト味なのがまた不思議。材料や調味料をあれこれ考えるのが楽しみなスープだ。 |
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「房総産あんこうのアロス・デラ・マリネラ」 あんこうの下にはこしひかりとギンナン、ふきのとうをスペイン風に味付けした、苦味をきかせたリゾットがあり、あんこうのとろっとした味とよく合う。 |
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「イノシシ背肉のロースト」は、かなり歯ごたえあり。 ハーブやカラフルな根菜に、土の香りの農園気分。 |
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「フルーツとショコラのメダイヨン」と「ソルベ」 メダイヨンは5種類のフルーツ食べ比べ。そしてソルベは自家製梅ジュース製のあっさりした口当たり。 |
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ハーブティーは、たくさんあるオリジナルブレンドの中から選ぶ。「いつまでも輝きを失わない」等と名前が楽しい。コーヒーも選べる。 | |
中村獅堂の雰囲気を漂わせるシェフに、最初は気難しい印象を勝手に持っていたのだが、タイミングよくサービスされる料理と、そえられる言葉の暖かさに、食事をしている自分達が見られているということをすっかり忘れて、味わうことに夢中になっていた(単に食い意地が張っているだけかもしれないが)。食事もBGMもそのほかの演出も予約時に相談にのってくれるので、特別な日を祝うのに力になってくれそう。 |